顎模型を観察しましょう

 口の中(口腔)にある全ての歯の型を採って作成した石膏模型を顎模型と呼びますが、上下2個で1対となりま
す。普通下の歯は鏡で見ることができても上の歯は鏡でもよく見えませんが、ご自分の顎模型を観察することによ
りどこを時間をかけて磨けばよいのか、糸ようじ(デンタルフロス)や歯間ブラシを使わなければならないのはどこ
か等を知ることができます。

1.前方からの観察

 これは普段鏡でご覧になっているのとかわりありませんから新たな発見はないかもしれませんが、歯と歯の間の
根元の部分(歯と歯肉の境目)をご覧になってください。隙間が空いていたり歯肉が盛り上がっていたりしましたら
糸ようじや歯間ブラシで丁寧に掃除する必要があります。歯肉が盛り上がっているということは歯肉が歯周病で腫
れているということです。厳密には細かい状態を見なければ分かりませんが、目安として歯の面より0.5mm以上盛
り上がっていたら腫れていると思ったほうが良いかもしれません。これは歯の裏側や他の方向から観察した場合
にも言えますので注意して観察してください。

2.後方からの観察

 模型を後方から観察すると前歯の裏側がご覧になれます。前歯の裏側に意外に凹凸が多いのが分かると思い
ます。前歯の裏側は平らではなく中央部が窪んだ形になっていますからその辺も頭に入れてブラッシングしなけれ
ばなりません。
 今度は下の奥歯の裏側を観察してみましょう。歯の根元(歯と歯肉の境目)の部分をご覧になってください。ここ
は歯の面の中で1段引っ込んでいるのが分かると思いますが、最も歯垢が溜まりやすく最も磨き残しが多い場所で
す。この1段引っ込んでいるところまで歯ブラシの先を入れるつもりで丁寧にブラッシングしなければなりません。
 また奥歯のところを観察すると他のところより飛び抜けて外側や内側に傾いている歯はありませんか?このよう
な歯も先ほどと同様の理由で傾いている方の根元の部分に歯垢が溜まりやすいので丁寧にブラッシングする必要
があります。その際傾きの角度が大きい場合には歯ブラシの入れ方を工夫しなければ歯ブラシの先がその部分
に当たらない場合等も考えられますので確認されたほうが良いでしょう。

3.上下方向からの観察

 我々歯科医師が虫歯などを見つけるとき重点的に診るのがこの方向からです。大きく穴の空いた虫歯であれば
ご自分で模型を観察されれば分かると思います。
 通常歯は馬蹄型ないしU字型に並んでいます。この並びから外側や内側に大きく外れている歯があれば2.で述
べたように傾いている方向の根元のところを丁寧にブラッシングしなければなりません。さらにこのような歯は歯と
歯の間のところに食べカスが詰まりやすい場合が多いので糸ようじや歯間ブラシで掃除したほうが良いでしょう。
 模型の奥歯のところを観察すると噛む面のところに大小様々な溝が確認できると思いますがこの溝が細かくて
深いところが食べカスが溜まりやすくブラッシングで食べカスを除去しにくいところです。このようなところも時間を
かけて丁寧に磨くようにしてください。

4.横方向からの観察

 横方向は1.のときと同様に犬歯から奥歯にかけての歯と歯の間の根元の部分(歯と歯肉の境目)をご覧になっ
てください。隙間が空いていたり歯肉が盛り上がっていたりしましたら糸ようじや歯間ブラシで丁寧に掃除する必要
があります。
 さらに他の歯と比べて飛び出している歯、引っ込んでいる歯等があればこのような歯も歯と歯の間のところに食
べカスが詰まりやすい場合が多いので糸ようじや歯間ブラシで掃除したほうが良いでしょう。特に一番奥の親不知
(智歯)のところは半分しか生えてなかったり横を向いて生えている場合がありますので入念にチェックしてくださ
い。またブラッシング時に親不知まで歯ブラシが届いていない方もいらっしゃいますので、どのくらい奥まで歯ブラ
シを入れなければならないかの確認も必要です。
 模型上では確認しにくいかもしれませんが歯のないところを繋げて被せている部分(ブリッジ)も歯と歯のの間の
ところに食べカスが詰まりやすいので歯間ブラシを用いて掃除してください。なお繋げている歯の間のところは糸よ
うじが入りませんので歯間ブラシを用いるしか方法はありません。

歯と歯の間の隙間は型を採る材料が型を外す際にちぎれてしまいうまく模型上に再現されない場合(隙間が石
膏で埋まってしまう場合)がありますのでご留意ください。

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